高橋空山

高橋空山は尺八の象徴的な人物で、生前より「尺八の神様」といわれ日本音楽の歴史にその名を残した。

明治33年(1900年)北海道に生まれる。幼少より柳生新陰流などの剣・薙刀・槍・手裏剣・弓などを極め、偉大な武道家となる。尺八・古武道・禅・書道の大師匠であり、この上なく日本の芸術のエッセンスとエスプリを象徴している。

虚無僧として武者修行のほか、日本各地を周り、明治4年(1871年)に廃宗となった普化宗寺院の遺跡を調査し、後に「普化宗史」にまとめ、研究者必携の書となった。宮川如山師、岡崎明道師、勝浦正山師、小林紫山師などに師事し普化宗尺八の奥義を伝承した。

独自性のある著名な人物で、名は中里介山の「大菩薩峠」の小説に出ており、一部は映画化された。この映画の中で空山本人が吹いた「虚空」の見事な演奏を聴くことができる。

塚本虚堂の「虚鈴山明暗寺文献」によると“空山ハ始メ高瀬助冶ニ学ビ後・・・小林紫山、岡崎明道、勝浦正山等ヨリモ伝ヲ得、其外錦風流、快道流、忍流ニモ通ジ、アラユル古典ヲ伝フルコト実二百五十曲ヲ超ユト云フ 従ッテ奏法亦如山風トモ大ニ異ル、現今普化尺八道考証ノ権威也。”とある。

また1961年に日本音楽会の代表として欧州に渡り、ラジオやテレビ、演奏会などを通して尺八を紹介した。空山の尺八は、欧州の音楽家や学者達を驚かせ、東洋から来た瞑想音楽は彼らを魅了した。以降、ヨーロッパの音楽家達は尺八に強い関心を示すようになった。

昭和47年(1972年)にミュンヘのオリンピックに因んだ「世界の文化と芸術展」に東洋音楽の代表として選ばれ、テレビを通してヨーロッパ各国へ「虚空」「虚霊」の2曲が放映された。

普化宗尺八の他、一節切、薩摩琵琶や篳篥などを修得し、また音楽学者としても知られていた。

「虚空」など12曲をオーケストラ演奏用に編曲し、普化宗尺八の伝統を保持しながら、尺八が新しい地平線に向かって進化発展することを可能にした。

経験と修行の結果から生まれた「普化宗史・その尺八奏法の楽理」が普化宗尺八の歴史・原理・思想・音楽などを語る貴重なエッセーである。目白店でご購入できます。

竹の響き 

1.虚霊
2.真蹟 
3.鶴の巣籠
4.下りは
5.虫の音 (一節切)
6.調(藤由越山師/E・A・シュワルツ師共演)
7.讃仰(さんや)(藤由越山師/E・A・シュワルツ師共演)
8.夏末(げまつ)(藤由越山師/E・A・シュワルツ師共演)

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